2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、明治時代の松江を舞台に、怪談を愛する夫婦の暮らしを描くオリジナルストーリーです。
主人公の松野トキ役に抜てきされた髙石あかりさんは、22歳の若さながら舞台や映画、ドラマで経験を重ねてきた女優です。
ドラマでは、異国人の妾＝ラシャメンとして生きる覚悟や家族との葛藤が描かれ、朝ドラならではの温かさと重さが共存する作品になっています。
『ばけばけ』が切り開く新時代の朝ドラ
ドラマの第6週では、ヒロインのトキが欧米人ヘブンの女中になることを決める場面が描かれます。
この決断は、ラシャメン（異国人の妾）になる覚悟を意味しており、制作統括の橋爪國臣さんは「朝ドラは子どもも見るので言葉遣いには気を付けた」としつつ、笑いを交えながらも史実に踏み込んだ物語を目指したと説明しています。
脚本のふじきみつ彦さんが柔らかい言い回しで表現し、政治家が本音を曖昧にするせりふが物語の人物像にもつながっていると語っています。
また、トキのモデルとされる小泉セツが実際にラシャメンだったかは記録に残っていないものの、制作サイドは資料を読み解きつつ、隠された歴史を正面から描くことの重要性を強調しました。
小泉八雲の曾孫に相談しながら、「結婚の美談にせず、当時の苦悩やたくましさをそのまま描くべき」と決断した経緯も明かされています。
こうした覚悟が、番組全体を通じて多様な視点を届ける原動力となっています。
髙石あかりの歩みと魅力
髙石さんは2002年12月19日生まれ、宮崎県出身の女優・声優・歌手・モデル・タレントで、身長は160センチと公表されています。
2014年にavex主催のキッズコンテストで受賞して芸能界入りし、ダンスボーカルユニットα-X’sのメンバーとして活動した後、2019年から俳優業に本格的に取り組み始めました。
映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで主演を務め、2023年のTAMA映画祭で最優秀新進女優賞を受賞するなど、役者としての実力を評価されています。
2024年10月、NHKの朝ドラ『ばけばけ』で主人公・松野トキ役に抜てきされたことが発表され、2025年のネクストブレイクランキング女性俳優部門で1位に選ばれるなど、注目度は急上昇しています。
舞台『鬼滅の刃』で竈門禰豆子役を演じた経験もあり、幅広いジャンルでカメレオンのように変身できる女優を目指していると語られています。
こうした背景から、『ばけばけ』でもトキの心の揺れや成長を繊細に表現しており、彼女の新たな魅力を引き出す役となっています。
制作サイドが語る物語の裏側と視聴者の反響
橋爪國臣さんはインタビューで、「朝ドラでも触れられてこなかった史実に踏み込む覚悟が詰まった週だ」と強調しています。
戦前の日本で異国人と結婚した女性たちの生き様には、誇りだけでなく、当時の偏見や差別も含まれていたことを描くため、制作陣は小泉家の子孫にも確認を取りながら脚本を作り上げたといいます。
子どもが観る番組でありながらも、笑いとユーモアを通じて重いテーマを伝える構造が『ばけばけ』の魅力でしょう。
放送が始まってからは、視聴者の間でトキの“決断”に共感や戸惑いの声が上がり、ラシャメンという言葉が検索トレンドになるなど、大手メディアが取り上げにくいテーマが話題になっています。
髙石さんの表情や所作に対する評価も高く、彼女の演技をきっかけに原作モデルの歴史や小泉八雲夫妻への関心が広がっています。
作り手の覚悟と主演女優の熱演が、朝ドラの枠を越えて新しい議論を生んでいると言えるでしょう。
まとめ
『ばけばけ』は、異国人の妾として生きた女性たちの歴史を温かくも真摯に描き、明治時代の松江に現代の視点を投げかけます。
髙石あかりさんは、ダンスボーカルユニット出身という異色の経歴を持ちながら、映画や舞台で経験を積んできたことが役づくりに生きており、朝ドラのヒロインとして新境地を切り開いています。
制作陣が「逃げずに正面から向き合いたい」と語ったように、隠された史実に光を当てることで物語に深みが生まれ、視聴者にも新しい学びや気づきを与えてくれるはずです。
今後の展開と、髙石さんのさらなる成長に注目していきたいところです。
コメント